2009年4月16日木曜日

Electric Dreams(エレクトリック・ドリーム)

この映画の邦題、「エレクトリック・ドリームズ」だと信じ込んでました

 1984年のイギリス映画で、主演はレニー・フォン・ドーレンとヴァージニア・マドセン。コンピュータが女性に恋をした、というまさにそのまんまの映画です。
 もちろんこの映画はJeff Lynneが音楽に参加していることからELO関連作品であるのですが、それを抜きにしても名作だと思っています。それなのになかなかDVD化されることがなく、今回UK盤で初めてDVDとして発売されました。

 ストーリーです。マイルズ(フォン・ドーレン)は若い建築家で、女性とはおよそ縁がありません。ある日、周囲の老若男女が電子機器を多用していることに気付き、自分もスケジュール管理などに使用すべく、電器店に向かいます。そこで最新のデスクトップコンピュータを勧められ、家に帰ってセットアップ。家中の電気製品をコンセントを介してリンクし、電話回線にも接続。職場のコンピュータからデータを抜き出したり始めますが、コンピュータがオーバーヒートしてしまい、シャンパンをぶっかけてしまいました。一方、彼の上階に引っ越してきた女性マデリン(マドセン)はチェリストで、早速チェロの練習に余念がありません。通気口を通して聞こえてきたその音色は、マイクを通してコンピュータを刺激し、コンピュータはその演奏に呼応して自律的に合奏を始めました。そのセッションがいたく気に入ったマデリンは、マイルズが相手だと誤解し、マイルズをコンサートに誘います。一見ふたりの中はうまくいくように見えたのですが、次第に自我を持ったコンピュータはエドガーと名乗り、マデリンに横恋慕。ふたりの恋を邪魔し始めます・・・

 極めて単純なストーリーだし、コンピュータの描写もかなりいい加減なところが目立ちます。しかし、この映画はラブストーリーの平仄をしっかり押さえたプロットを持っていて、そういった安定したストーリーラインは見ていて極めて安心できます。さらに、主演のふたり(+1台?)も堅実に役をこなしており、しかもなかなかタマがいい(その後ふたりともヒット作には恵まれていませんが)。おまけにサントラもJeff Lynneを抜きにしたってよくできています。というわけで、この映画は地味ではあるものの後味のいいよくできた恋愛映画といえます。そんなわけで☆☆☆☆。

 一方、ELO関連という見地で見ると、Jeff Lynneの楽曲が2曲(Video!とLet It Run)含まれています。前者はマイルズとマデリンがアルカトラズ島(書き忘れましたが、この映画の舞台はサンフランシスコ)に遊びに行くシーンで使用され、特に花火をバックにキスをする場面は見事にはまっています。その後、Edgarが歌詞も音程も外して歌ったバージョンも流れるのはお愛嬌。後者はマイルズがデートに出て行った後、やけを起こしたエドガーがひとりでパーティをするシーン。なお、シングルに入っていたSooner Or Laterは映画では使われていません。

 そういった映画であるにもかかわらず、今回が初めてのDVD化です。日本では劇場公開され、VHSソフトも出ていましたがそこまでで、今のところDVDにはなっていません。というわけで、この映画のDVD化は両手をあげて喜びたいのですが、なかなかそうもいかない点もあります。
 まず、UKのみのリリースで、リージョンコードは2なのですが、PALフォーマットなので、日本のテレビでは映りません。PCの画面で視聴することは可能。
 次に、字幕がありません。日本語字幕は当然ですが、英語字幕もついていません。私の場合、日本語字幕付きで何度か見たことがあるので、なんとなく台詞の見当はついたものの、初めて見る人の中には辛いと感じる人もいるでしょうか。それから、音声がDolby 2.0で、5.1サラウンドにはなっていません。
 最後に、映像特典が弱いです。Together In Electric Dreamsのビデオクリップのみ。どうしてVideo!など、他のビデオクリップも同時収録しないのか、どうしてトレイラー(だったか、Video!のアーリーバージョンが入っているもの)が入っていないのか。
 そんなわけでwaste of chanceとも思えるのですね。できうれば、日本ローカルで構わないので、字幕付き、NTSCフォーマットで、映像特典つきのリリースを期待します。

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