2009年5月28日木曜日

With A Little Help... by The Virtual Beatles

作り手のセンスが問われる企画

 2008年の4月に公開されたと思われるアルバム(?)で、アルゼンチンで企画されたプロジェクトによる作品です。全編をこちらのブログからダウンロードすることができます。http://www.virtualbeatles.blogspot.com/
 これをELO関連に分類すべきかどうかはちと悩んだのですが、一応「そういうこと」にしておきます。

 もともとは、youtubeでビデオを見ていたら、このプロジェクトのビデオを見つけることができ、そこからサーチをかけたらあっさりブログが見つかったという経緯です。プロジェクトのコンセプトについてはブログを読んで頂ければいいことなんですが、ざっくり紹介してみると、1994年にJeff Lynneと生存するBeatleがJohn Lennnonのデモを完成させたことへのトリビュートで、John、Paul、Georgeのデモ曲からピックアップして、「もしJeffがアルバムまるごと作るとすればどんなサウンドにしただろうか」ということをシミュレートし、デモにオーバーダブすることで仮想ビートルズソングを作り上げたものだそうです。
 パーソネルは、Octavio CavalliとMax Gonzalezという人で、後者がギター、前者がそれ以外の楽器とボーカルを担当しています。ex-Beatleのデモをコンプリートする形でなされているのですが、Ringoのデモが採用されていないため、Ringoはクレジットされていません。
 たとえばFree As A BirdやReal Loveをお聴き頂ければおわかりの通り、Anthologyバージョンを忠実にコピーしたように見えます。ギターのフレーズとかもほとんど同じです。その他の曲についても、上述のように、「Jeffがプロデュースしたらこんなのになったんじゃないか」というのが出発点のようであり、当時のドラムの音が露骨に真似されています(いや、ほんとにうるさいくらい)。だからまあ、「ELO関連」ということにしてもいいのかな、と。
 そういった点では、我々にとって楽しめるアイデアなのかも知れないのですが、問題はもとの曲が所詮はデモどまりであったこと、それから付加されるふたりがex-Beatleではないことでしょう。ありていに言えば、あまり面白くないのです。私は彼らのデモを追っかけていませんので、曲名だけ見ても誰のデモなのかもすぐには答えられませんし、いつ頃録音されたものかもわかりません。ましてやデモそのものも聴いたことがないのがほとんどです。だから、彼らふたりが頑張ったことでどれだけ曲の完成度が上がったのかは評価不可能なんですが、これがこのまま発売されたとしても「えー」という感想しか受けそうにありません。つまり、こういうトライアルを行うには、やる側のセンスがもろに問われるのではないかと思うのです。
 逆に、ともすればそうなってしまいがちな企画を、FAABやRLのように「聴くに堪える」バージョンに仕上げたというのは、いくらPaul、George、Ringoが揃っていたとは言っても大したことだなと感じます。

1.- Free as a bird


2.- I don't want to do it


3.- Real Love


4.- You saved my soul


5.- Your school


6.- Let it down


7.- Now and then


8.- India


9.- You know what to do


10.- Help me to help myself


11.- Nowhere to go


12.- Grow old with me


13.- Goodbye

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