2009年8月27日木曜日

The Game Plan(ゲーム・プラン)

脚本が悪いんだろうな

 2007年のアメリカ映画で、主演はドウェイン・ジョンソンとマディソン・ペティス。自信家のプロQBが、突然現れた実の娘に振り回され、徐々に父親としてステップアップしていくというお話。
 また、この映画のカテゴリを見て「おや」と思った方、決して間違えたわけじゃありません。この件については「続き」の最後の方で触れています。

 ストーリーです。ジョー・キングマン(ジョンソン)はボストンのプロフットボールチームのエースQBです。彼のスタンドプレイでチームはプレイオフ出場を決め、得意の絶頂にあります。ところが彼のアパートをペイトンと名乗る少女(ペティス)が訪れ、「昔の妻との間に生まれた娘だ」と告白します。母親がアフリカでボランティアをしている間、ジョーと暮らせと言われたとの話であり、ジョーとしてはそれを受け入れざるを得ません。これまでフットボールだけを考えていたのに、娘を中心にしていかなければならなくなったジョーですが、最初は邪魔者に見えていたペイトンが次第に愛おしく思えてきます・・・

 お山の大将であった男が、意識もしていなかった子供と共同生活することになり、子供の存在が彼の意識を変えていく、というのは定番ながらきちんとしたお話だろうとは思います。しかも、ジョンソンにせよペティスにせよ、さらにロザリン・サンチェスはじめ脇役陣もなかなか上手にこなしています。それなのにこの映画、とにかくノリが悪いのです。どうしてなんだろうと考えて、どうも脚本がうまく書けていないのではないかという結論に至りました。ジョーは次第にペイトンを受け入れ、そして彼女なしでは生きていけないようになっていくのですが、そうなっていくプロセスがぎくしゃくしているのです。もちろん実際の人生はそうだよと言われたらまさにその通りであるにせよ、ふたりの関係は壊れたり修復したりを繰り返しながら形をなしていきます。しかしそのステップが多すぎてとてもいらいらします。現実にはあり得ないとしても、もう少しプロットを整理した方がよかったようです。
 フットボール映画としては、あまり大した見所はありません。単にジョンソンを起用するからフットボールを舞台にしただけのようであり、他のスポーツでも成立するお話です。なんでも、ニューイングランド・ペイトリオッツを舞台に使いたかったけれど、許可が下りなかったので架空のチームを作ったそうです。それは他の側面でも現れていて、映画の早い時期に「浮かれすぎてチャンピオンシップで負けないように」みたいな台詞が出てきます。NFLにおけるチャンピオンシップはカンファレンスの決勝であり、もちろんこれは重要な試合なのですが、プロチームの最終目標はその次のスーパーボウルに勝つことに決まっています。どうしてチャンピオンシップ勝利が取り沙汰されるんだろうと思っていたら、どうも「スーパーボウル」という言葉が使えないようであり、この映画におけるチャンピオンシップというのは、現実のスーパーボウルを意味するようです。
 試合解説のクルーにもとシンシナティ・ベンガルズのブーマー・アサイアソンが出てくるとか、ペイトンの名前がペイトン・マニングからとられたのかウォルター・ペイトンに由来するのかとか、それなりに面白い部分もありますが、微妙な手抜きも気になります。映画の冒頭、ボストンが勝利した相手チームはジャージからすればニューヨークです。そして、チャンピオンシップで対戦したチームも同じニューヨークです。映画のクライマックスに、一度主役チームに負けたチームを持ってきますか? 信じられません。さらに、プレイオフの初戦、ボストンはデンバーに遠征しています。つまりディビジョンチャンピオンではなくてワイルドカードでのプレイオフ進出です。その後の試合でもホワイトジャージばかり着ているようで、シード順が上のチームとばかり戦っているようです。そんなチームのQBが偉そうな顔をするなという気持ちになってしまって・・・
 そんなこんなで、評価は☆☆☆です。予想されたよりも☆が多いのは、演技がよかったのと、下に書くようなプラス因子故です。

 さて、どうしてこの映画がELO関連なのか。ご多分に漏れず、ELOの曲が劇中で使われているからです。この映画においてはMr. Blue Sky。残念なことに新録バージョンではなくてOut Of The Blueに収録されたバージョンだと見ましたが、これを編集して使用してあります。編集がそんなに効果的だとも思えませんが、聞き慣れたのと違った展開をするので印象は新鮮です。時間的にも3分程度フルボリュームでかかるので迫力があります。場面としてもお得なところで使われています。
 そして、この映画のことはShowdownで2年前に話題にされていたのですが、私はすっかり失念していました。ただのフットボールコメディだと思って見ていたのが突然Mr. Blue Skyがかかり、慌てたのなんの。

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